カメラ選びに正解があるとすれば、「自分にとって気持ちよく使えること」がひとつの答えかもしれません。便利なだけではなく、軽いだけでもなく、写りがいいだけでもない、どこか感覚にフィットする。そんな一台を、私は探していたのかもしれません。
シグマfpは、2019年9月に登場してから、何となく気になる存在でした。
・シンプルでコンパクト、シネマカメラを思わせるような無骨なデザイン。
・ファインダー、手ぶれ補正どころか、メカシャッターすらない究極のミニマリズム。
・一方で、目的と用途に合わせた高い拡張性。
ここまで尖ったカメラは、古今東西見渡しても、どこにもありません。
少し話はそれますが、私はふだん万能機のニコンZ6Ⅱを使っています。ほとんどのシーンにおいて、安心してシャッターを切ることに集中できるのです。ただ、プライベートで撮っていると、ふと我に返ることがあるのです。「これは、自分が撮った写真なのか?」「ちゃんと被写体と向き合っているのか?」と。便利すぎるが故に、撮っているというより、撮ってもらったかのような感覚に陥るのです。。。
その度に思い起こしたのがシグマfpの存在です。昨年夏、「一生、ニコンZひと筋」と決めていた私が、ついにシグマfpの購入を決断しました。そしてたちまち虜になり、この一年間は夢中で撮り続けてきました。この記事では、そんなシグマfpの魅力をたっぷりお伝えしたいと思います。
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スペック
シグマfpの主な製品仕様を下表にまとめました。比較品は、私が所有しておりますニコンのフルサイズ ミラーレス機「Z6Ⅱ」としました。
| シグマ fp (当該品) | ニコン Z6Ⅱ (比較品) | |
| マウント | ライカ Lマウント | ニコン Zマウント |
| 画像処理エンジン | TRUEⅢ | EXPEED6 |
| センサー (撮像素子) | フルサイズ ( 35.9 × 24.0 mm ) 裏面照射型CMOS | ← ( 35.9 × 23.9 mm ) ← |
| 総画素数 | 2,530万 画素 | 2,528万 画素 |
| 有効画素数 | 2,460万 画素 | 2,450万 画素 |
| 撮影感度 | ISO 100~51,200 ( 拡張:ISO 6〜102,400 ) | SO 100~51,200 ( 拡張:ISO 50〜204,800) |
| 連写性能 | 18 コマ/秒 ( 電子シャッターのみ ) | 14 コマ/秒 ( メカ + 電子シャッター ) |
| シャッタースピード | 1/8,000 〜 30 秒 | ← |
| ファインダー | なし | 369万ドット |
| モニター | 3.15型 210万ドット 固定式 | 3.2型 ← チルト式 |
| バッテリー | BP-51 | EN-EL-15C |
| 記録メディア スロット | SD UHS-II のみ シングルスロット | SD UHS-II + CFexpress Type B / XQD デュアルスロット |
| サイズ | 112.6 × 69.9 × 45.3 mm | 134 × 100.5 × 69.5 mm |
| 重量 (バッテリー、記録メディア含めず) | 370 g | 615 g |
| カラーバリエーション | ブラックのみ | 同左 |
| 発売日 | 2019年10月 | 2020年11月 |
| 新品価格 (ボディーのみ) | 18〜20万円 | 24〜26万円 |
| 中古価格 (ボディーのみ) | 11〜13万円 | 15〜17万円 |
※当該品が比較品よりも優れる項目を青字で、劣る項目を赤字で記載しています。
外観・デザイン
それでは、さっそく見ていきましょう。(各部の正式名称が気になる方は、シグマHPのマニュアルをご参照下さい)

まずは正面です。社名「SIGMA」の文字はなく、機種名「fp」の文字が控えめに刻印されているだけです。同社の公式サイトによると、「fp」という名前は音楽用語から取られているそうです。
・f (fortissimo):とても強く
・p (pianissimo):とても弱く (静かに)
この相反するふたつの意味を持たせることで、「力強さと繊細さが同居する存在」を表現しています。まさに、このカメラのコンセプトを象徴しているのですね。

このサイズにフルサイズセンサーを搭載する為、ファインダー、手ぶれ補正機構のみならず、メカシャッターすら削ぎ落とされています。無駄を一切省いたミニマルなデザインから、無骨さと潔さを感じます。マウントは、シグマ、ライカ、パナソニックの3社アライアンスによる「Lマウント」が採用されています。
いや、それにしても美しいですね。写真を見ただけでも、ひんやりとした金属の質感が伝わってくるようです。
操作性・使いやすさ

まずは上面から見ていきましょう。「電源スイッチ」がボディーの左側にあります。その隣には、「CINE(動画)↔︎STILL(写真)の切り替えスイッチ」があります。動画・写真、それぞれ設定できるので、頻繁に切り替えて使う方には重宝します。赤いボタンは「RECボタン」で、動画撮影の開始・終了時に使います。右側の大きなボタンは「シャッターボタン」で、写真撮影時に使います。これを囲むように「前ダイヤル」があり、各種設定を割り当てることができます。背面側に見える溝は放熱用の「ヒートシンク」で、コンパクトなボディーながら、長時間の動画撮影で熱停止しにくいよう工夫がなされています。

お次は背面にいきましょう。
「液晶モニター」はタッチパネルになっています。ダイヤルやボタン類が全て、ボディーの右側と下にレイアウトされており、操作しやすくなっています。
右側は上から順に「AELボタン」、「QS(クイックスタート)ボタン」、「後ダイヤル」とその中心にある「OKボタン」、「MENUボタン」、の配置になっています。QSボタンを押すと、その名の通りよく使う項目を呼び出すことができます。キヤノン機・富士フイルム機の「Qボタン」、ニコンの「iボタン」、ソニーの「Fnボタン」、に相当します。「後ダイヤル」は十字キーにもなっており、フォーカスポイント移動、フォーカスポイントサイズ、フォーカスモード(AF-S、AF-C)選択など、各種設定を割り当てることができます。
液晶モニターの下側は、左から順に「再生ボタン」、「ディスプレイボタン」、トーンカーブを変更できる「トーンコントロールボタン」、シグマ独自のカラーモードを選択できる「カラーモードボタン」、「撮影モード・消去ボタン」になっています。
上記において、マーキングしたボタンは、割り当てを変更することができます。
「SIGMA」のロゴが、ボディー前面ではなく、背面右下にのみ小さく表示されているのが、好感につながります。メーカーとしては、目立つ前面にに入れた方が宣伝効果にもつながると思うのですが、デザイン性を優先しての決断だったのだと思います。

「 サムレスト (ボディー右上角部の、ふくらんだ部分) 」は、小さいものの親指のひっかかりがよく、とても持ちやすい設計になっています。握った時の剛性感、カタマリ感は、他の国産カメラからはあまり感じたことがなく、まるでM型ライカのような印象を受けます。

コンパクトさを追求した機種ですので、記録メディアはSDカードのシングルスロットで、バッテリーと同室内に格納されます。いいんです。fpはそれでいいんです。ダブルスロットが必要な用途の撮影時には、ライカSLや、パナソニックのルミックスを使えばいいんですから。

キットレンズにもなっている「45mm F2.8 DG DN」を取り付けました。「コンデジ並み」とまではいかないまでも、非常にコンパクトで、とてもフルサイズセンサーを積んでいるとは思えません。
カスタマイズ
カスタマイズというほどではないのですが、fpの為に買い揃えた製品をご紹介します。

ピークデザインのアンカーリンクスです。瞬時に着脱でき、重宝しております。

近所を散歩したり、軽いお出かけの時はハンドストラップをつけて、気ままにパシャパシャとスナップします。

愛犬との散歩や、旅行などの時にはネックストラップをつけて、肩から斜めがけしています。
また、上記以外にも予備バッテリー1個と、中望遠レンズの「90mm f2.8 DG DN」を追加購入しました。
気になるところ
街中スナップと、風景撮影がほとんどの私にとって、気になるところはほとんどありません。が、その他の使い方を想定した時に、強いて挙げるなら下記3点でしょうか。
・オートフォーカスが弱く、特にAF-Cは実用レベルではないと思います。
(逆に、AF-Sのみであれば、問題なく使うことができます。)
・ダイナミックレンジが狭く、特に白飛びしやすい
(逆に、黒つぶれはしにくく、露出アンダー目に撮ることである程度対応できます)
ただ、私の場合、上記のような状況下では、万能機NIKON Z6Ⅱを使うので、特に不自由はしておりません。これから購入を検討される方は、上記特性を理解しておく必要があると思いますので、頭の片隅に入れておいて下さい。
・また、メニュー画面が古い設計で、慣れるまでは億劫に感じるかもしれません。
上記の通り、弱点がないわけではありません。
いいんです。
それでもいいんです。
それがfpなのです。
そんな不便さ、不自由さも含めて愛でることが重要です。
一度手にしていただければ、
きっとそれらも含めて愛でることができるはずです。
作例
以下、シグマfpで撮った写真です。














まとめ
シグマfpは、決して万人向けではないし、すべての場面で万能なわけでもありません。
しかし、だからこそ、自分にとって何が必要で、何が不要なのかを考えるきっかけを与えてくれます。
細部にまで「自分の意思」を反映できるこのカメラは、使い手の感性や撮りたい気持ちと、静かに向き合ってくれる存在です。
便利さや効率が優先される時代にあって、fpは“撮ることの原点”を思い出させてくれる。
ゆっくり、じっくり。自分のペースで写真と向き合いたい人にこそ、手に取ってみてほしいカメラです。

いかがでしたでしょうか。
現在、巷では最新機種のシグマBFや、ニコンZ5Ⅱの話題で持ちきりですが、
私は全力でシグマfpをオススメします。
この記事が、シグマfpの購入検討で悩んでいる方々の、後押しになれば嬉しいです。
参考
本記事内で取り上げましたピークデザインのハンドストラップ、ネックストラップ、またシグマ純正ハンドグリップ他、関連する製品のリンクを以下に貼っておきます。気になるものがあれば、ぜひチェックしてみてくださいね。

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