これまでの記事で、Zfcに似合うレンズとして「Voigtländer NOKTON D35mm F1.2」を推してきました。クラシカルな外観と操作感、MFならではの撮る楽しさ──Zfcの魅力を引き出す1本として、日々愛用しております。
ただ一方で、中には「ニコン純正」にこだわる方もいらっしゃるかと思います。そんな方にオススメしたいのが今回ご紹介する「NIKKOR Z 26mm f/2.8」です。
軽さ・薄さ・質感、そしてZfcとの相性──
このレンズは、実用性と美しさのバランスが心地よく取れた、純正レンズの中でも魅力的な一本です。
本記事ではそんなNIKKOR Z 26mm f/2.8を徹底レビューします。
※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。ご了承ください。
スペック
今回は、ZfcのキットレンズにもなっているNIKKOR Z 28mm f2.8 SEとの比較で、下表にまとめてみました。
| 名称 | NIKKOR Z 26mm f/2.8 ( 当該品 ) | NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE ( 比較品 ) |
| メーカー | ニコン | ← |
| マウント | ニコン Zマウント | ← |
| フルサイズ対応 | ○ | ← |
| 焦点距離 | 26 mm | 28 mm |
| 絞り値 | f 2.8 〜 16 | ← |
| 絞り羽根枚数 | 7枚 | ← |
| レンズ構成 | 6群8枚 | 8群9枚 |
| 最短撮影距離 | 0.2 m | 0.19 m |
| 最大撮影倍率 | 0.19 倍 | 0.2 倍 |
| フィルター径 | 52 mm (フード装着時のみ フィルター取り付け可) | 52mm |
| オートフォーカス | あり | ← |
| 手ブレ補正 | なし | ← |
| 外装材質 | 金属 | プラスチック |
| 絞りリング | なし | ← |
| サイズ ( 直径 × 長さ ) | 70 × 23.5 mm | 70 × 43 mm |
| 重量 | 125 g | 160 g |
| 新品価格 | 55,000 〜 59,000 円 | 39,000 〜 42,000 円 |
| 中古価格 | 43,000 〜 49,000 円 | 26,000 〜 32,000 円 |
※当該品が比較品よりも優れる項目を青字で、劣る項目を赤字で記載しています。
スペック値だけ見ると非常に似通った両者ですが、NIKKOR Z 26mm f/2.8の売りは何と言っても、圧倒的なその薄さで、携帯製は別格です。また、外装だけでなくマウントまでも金属製で質感が高く、Zfcに装着したときの見た目の美しさも大きな魅力です。質感を追求した分、多少お値段ははるようです。純正レンズの中でも、Zfcに似合う一本を求めるなら、「このレンズ一択」といっても過言ではないかと思います。また、フルサイズ機でも使えるのも、嬉しいポイントです。
外観・デザイン
では、さっそく見ていきましょう。

主張の少ない、あっさりしたデザインが好感を持てます。この状態でフィルターを装着することはできません。

本当に薄いですね。厚さ23.5mmは伊達ではありません。正にパンケーキレンズですね。

Zfcに装着してみました。いかがでしょう。コンパクトにまとまっており、とても可愛らしいルックスです。

クラシックなZfcのボディに、Z 26mm f/2.8の薄型レンズが美しく溶け込んでいます。その佇まいは、まるで往年のフィルムカメラのようです。ミニマルで無駄のないデザインは、日常に自然と馴染んでくれます。軽さと携帯性を備えており、「使いたい」と「持ちたい」を両立してくれる一本です。
操作性・使いやすさ
このレンズは非常にシンプルで、操作性において特筆すべきことはありません。

AF/MF切り替えスイッチはありませんが、この薄さでは仕方のないことでしょう。難しいことを考えず、AFでテンポよくスナップするのがよいと思います。

フードをつけた状態です。フードの内側にはネジが切ってあり、フィルターを装着できるようになるのが嬉しいポイントです。

フードをつけた状態でも、キャップをつけることができます。レンズキャップの内側には柔らかい不織布のような素材が貼ってあり、簡単に外れないように工夫されています。紛失することもないかと思います。こういった細かな気配りが嬉しいポイントですね。
気になるところ
①AF/MF切り替えスイッチがない
切り替える時には、カメラでの設定が必要です。
こまめに切り替えたい方は、
少しわずらわしさを感じるかもしれません。
②AEが少し遅い
全群繰り出し方式の為、AF速度はややゆったりめです。
AFモードAF-Cの時は少しもたつくことがあります。
(AF-Sでは、実用上問題ないと思います)
③ウォブリング
ウォブリング(前後に微小に動く挙動)が発生することがあります。
動画撮影時には少し気になるかもしれません。
(スチル撮影では、実用上問題ないと思います)
作例
以下、(左)NIKKOR Z 26mm f/2.8と、(右)NIKKOR Z 28mm f/2.8 SEの撮り比べです。


画角が異なり申し訳ありません。いずれも絞りは開放のf2.8で撮りました。注目いただきたいのはピントを合わせた花の部分です。NIKKOR Z 26mm f/2.8の方がシャープに解像されています。背景のボケはNIKKOR Z 26mm f/2.8の方が少しかたい印象を受けます。


こちらもf2.8で撮りました。全体的にコントラストはNIKKOR Z 26mm f/2.8の方が強く出ています。これは一概にどちらかが良いというわけではなく、好みによるところでしょう。また、背景の玉ボケの形状は、いずれも円形から少し崩れているものの、気になるほどではないと思います。


こちらはいずれもf4の写真ですが、大きな差はないようです。強いて挙げるなら、NIKKOR Z 26mm f/2.8の方が、少しボケがかたいでしょうか。


次は逆光での描写を比較してみました。絞りはいずれもf8で撮りました。ここまで絞るといずれも解像感は申し分ないようです。左上の葉の部分に着目すると、NIKKOR Z 26mm f/2.8の方が、コントラストの低下が抑えられているように感じます。
他にもいくつか、NIKKOR Z 26mm f/2.8で撮った作例を掲載しておきます。





参考
NIKKOR Z 26mm以外に
記事内で触れた製品のリンクを、以下に貼っておきます。
気になるものがあれば、ぜひチェックしてみてくださいね。
まとめ
①クラシックとモダンの調和
Zfcのクラシカルな造形にデザインがマッチします。
②一体感のある美しさ
レンズとボディの素材感やトーンが統一されており、
まるでセットように感じられます。
③“持ち歩きたくなるカメラ”の理想形
この薄さとシンプルさ。
日常に自然に溶け込むスタイルで、
「撮る道具」ではなく「持ちたい存在」になっています。
④デザインにこだわる人の一本
機能性だけではなく、
所有する喜びにもしっかり応えてくれます。
この記事が、レンズ選びで悩む方々にとって、少しでもお役に立てば嬉しいです。


コメント