まるでズミルックスの佇まい|”Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4 Ⅱ” のススメ

レンズ

「Voigtländer NOKTON 35mm F1.4 II」は、クラシカルな外観と味わい深い描写で人気のMマウントレンズです。その設計思想は、かつての「ライカ ズミルックス 35mm F1.4」に通ずるものがあり、オマージュとも言えるデザインとスペックが特徴です。価格はライカの10分の1以下ながら、その表現力は多くの写真愛好家を魅了してきました。本記事では、その使用感、描写、シグマfpやニコンZfc、Z6Ⅱでの使用例、作例をレビューします。コンパクトな35mmレンズを探している方や、ライカ風の描写を手頃に楽しみたい方はぜひご一読ください。

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スペック

今回は、私が所有している、同じコシナのレンズ「Voigtländer HELIAR 40mm F2.8 Aspherical」との比較で下表にまとめました。

名称Voigtländer
NOKTON Classic
35mm F1.4 Ⅱ MC
( 当該品 )
Voigtländer
HELIAR
40mm F2.8 Aspherical
( 比較品 )
メーカーコシナ
マウントバヨネット式 VMマウント
(ライカMマウント)
フルサイズ対応
焦点距離35 mm40 mm
絞り値1.4162.8 〜 22
絞り羽根枚数10枚 ←
レンズ構成6群8枚3群5枚
最短撮影距離0.7 m
最大撮影倍率情報なし
フィルター径43 mm34 mm
オートフォーカスなし
手ブレ補正なし
外装材質金属
絞りリングあり
サイズ
( 直径 × 長さ )
55.0 × 28.5 mm52 × 21.2 mm
重量189 g131 g
カラーバリエーションブラックのみブラック / シルバー
新品価格57,930円 〜 (MC)
61,920円 〜 (SC)
53,300円 〜
中古価格情報なし (MC)
60,000円 〜 (SC)
情報なし
※上記は記事作成時の情報です。念の為、公式HP等で最新情報をご確認下さい。
※当該品が比較品よりも優れる項目を青字で、劣る項目を赤字で記載しています。

両者とも、「コシナ」製、「Voigtländer」ブランドの「ライカMマウント」用レンズです。当該品の特徴は何と言っても、開放f値1.4という明るさにあります。故に、比較品より長く、大きく、重量も58g重くなっています。しかし、f1.4のレンズが5万円台で買えるとは、驚きですね。コシナさんの企業努力には、頭が下がります。

外観・デザイン

それでは、さっそく見ていきましょう。

レンズ単体

箱はこのような感じです。落ち着いたツートーンの配色が素敵です。比較品の「Voigtländer HELIAR 40mm F2.8 Aspherical」も同じデザインでしたね。

レンズ単体の写真です。上の画像では付属の上下キャップを外した状態となっています。レンズの先端側には絞りリング、カメラボディに近い側にはフォーカスリング、という並びになっています。絞りリングは1/2刻みでとまるようになっています。(1/3段刻みではありません) 写真の左下に見えます突起は、フォーカスリングを操作する際に指をかけやすくする為のレバーです。このレバーのおかげで、より正確で快適なピント合わせが可能です。

サイズの比較です。左がVoigtländer NOKTON 35mm F1.4 Ⅱ、右がVoigtländer HELIAR 40mm F2.8 Aspherical、です。前者の方がふた回りほど大きいですね。

デザインについては、前者が「Summilux 35mm F1.4」を、後者が「Summaron 35mm f/5.6」を、各々オマージュしているようです。

Voigtländer HELIAR 40mm F2.8 Asphericalはマウント部まで含め、鏡筒の内側全てがマットブラックに塗装されていましたが、Voigtländer NOKTON 35mm F1.4 IIは無塗装ですね。

SIGMA fpとの組み合わせ

シグマfpに取り付けてみました。

いいですね。fpのキットレンズ「45mm F2.8 DG」よりもひと回りほど小さく、先細り形状なことも相まって、バッグへの出し入れはしやすくなりそうです。

マットブラックの質感が、fpのボディーにもマッチしています。外観上、焦点工房のマウントアダプターと相性も良さそうです。

大きな前玉が、豊かな光をたっぷりと受けとめてくれます。その光は、まるで濁りのないまま、レンズ内を静かに通り抜け、やさしく、そして余すことなく、センサーへと届けてくれそうです。

このサイズ感で、「フルサイズボディーとf1.4の単焦点レンズのセット」を持ち運べるとは、にわかには信じられません。

このまま置いておくだけでも、絵になりそうです。

NIKON Zfcとの組み合わせ

お次はニコンZfcに取り付けてみました。

この組み合わせも良い佇まいですね。まるで本物のフィルムカメラのようです。まるで、往年の名機「ニコンF」に「Sレンズ」がくっついているようです。

ZfcはAPS-Cセンサーを搭載しておりますので、本レンズを取り付けた時の焦点距離は、フルサイズ換算で50mm相当になります。私の大好物です、50mm。

この眺め、惚れ惚れしてしまいます。多く語る必要はないと思います。何枚か写真を並べますので、ご堪能ください。

NIKON Z6Ⅱとの組み合わせ

最後はニコンZ6Ⅱに取り付けてみました。

いかがでしょう。かなり良い見てくれなのではないでしょうか。

あまりデザイン面で褒められることのないZ6Ⅱですが、このレンズと組み合わせると、かなりカッコよく見えます。Z6Ⅱには、ニコン純正のような太いレンズよりも、Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4 Ⅱ MCのように、少し細身のレンズの方が、似合うようです。

操作性・使いやすさ

Voigtländer NOKTON D35mm F1.2のご紹介記事でも述べましたが、ISOダイヤル・シャッタースピードダイヤル・絞りリングの三要素を一目で把握することができるのは、嬉しいポイントですね。(ISO感度とシャッタースピードは肩液晶に表示されます) ひとつだけ贅沢を言うならば、電源OFF時も肩液晶の情報が表示されれば完璧なのにな、と思いました。富士フイルムのGFX50シリーズ、100シリーズ、X-Hシリーズはそうなっています。もっともこれは、レンズレビューではなく、カメラのレビューで言うべきことですが…。

純正レンズよりも細身で、操作しやすいです。絞りリングのトルク感とクリック感はほどよく、フォーカスリングはヌルヌルと滑らかに動きます。撮影の為の操作そのものが、気持ちよく、心地よいと感じさせてくれます。

作例

以下、シグマfpとVoigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4 Ⅱ MCの組み合わせで撮った写真です。 (申し訳ありません、f値の記録を失念しておりました)

f:ー, シャッタースピード:1/640秒, ISO感度:3,200

f:ー, シャッタースピード:1/4,000秒, ISO感度:3,200

f:ー, シャッタースピード:1/5,000秒, ISO感度:3,200

f:ー, シャッタースピード:1/800秒, ISO感度:3,200

f:ー, シャッタースピード:1/640秒, ISO感度:3,200

f:ー, シャッタースピード:1/60秒, ISO感度:3,200

f:ー, シャッタースピード:1/1,600秒, ISO感度:3,200

以下、ニコンZ6IIとVoigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4 Ⅱ MCの組み合わせで撮った写真です。 (こちらも一部、f値の記録がありません、ご容赦下さい)

f:11, シャッタースピード:1/100秒, ISO感度:100

f:ー, シャッタースピード:1/800秒, ISO感度:1,600

f:ー, シャッタースピード:1/6,000秒, ISO感度:1,600

f:ー, シャッタースピード:1/6,400秒, ISO感度:1,600

f:ー, シャッタースピード:1/2,600秒, ISO感度:1,600

f:ー, シャッタースピード:1/1,250秒, ISO感度:1,600

f:ー, シャッタースピード:1/1,600秒, ISO感度:1,600

まとめ

① 開放f値1.4の豊かな表現力。
  やわらかく、やさしいボケ味を堪能することができます。

② まるでSummiluxを思わせる、クラシカルな佇まい。
  クラシカルな見た目がたまりません。

③ 指先が嬉しくなる操作感。
  絞りリングの小気味よいクリック感、
  レバー付きフォーカスリングのトルク感、
  金属のひんやりとした触感、
  「良いものを使っている」と実感させてくれます。

④ コンパクトでどのボディにもよく似合う。
  SIGMA fp、Nikon Zfc、Z6 II――
  どのボディーと組み合わせてもよく似合います。

⑤ これだけ揃って、5万円台という現実。
  もはや実質無料。 (どこかで聞いたような…)

いかがでしたでしょうか。

この記事が、レンズ選びで悩む方々にとって、少しでもお役に立てば嬉しいです。

今回、比較品として取り上げたVoigtländer HELIAR 40mm F2.8 Asphericalが気になる方は、こちらの記事もご覧下さい。

参考

今回ご紹介しましたレンズは、焦点距離35mmです。これに近い工学設計で、少しだけ望遠寄りの40mmの兄弟レンズもあり、少しだけお求めやすい価格になっています。上から順にSC(シングルコート)、MC(マルチコート)となっています。気になる方は、是非チェックしてみて下さいね。

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マウントアダプタをご検討の方には、日本メーカー品の新品購入を強く推奨します。

以下に推奨品のリンクを貼っておきます。ライカMマウントから、各社マウントに変換してくれます。Voigtländerのマウントアダプターはヘリコイド付きで、最短撮影距離を縮めることができます。

ライカ Lマウント用です。 (メーカー:宮本製作所、ブランド:RAYQUAL)

ソニー Eマウント用です。 (メーカー:コシナ、ブランド:Voigtländer)

ニコン Zマウント用です。 (メーカー:コシナ、ブランド:Voigtländer)


富士フイルム Xマウント用です。 (メーカー:コシナ、ブランド:Voigtländer)

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