はじめに
日本国内でレンズ交換式ミラーレスカメラを趣味で使っている人は約150万人と推計されています。
このうち、複数のマウントを併用している「ダブルマウントユーザー」は全体の0.4%、約6,000人程度と考えられます。
正確な統計があるわけではありませんが、限られた領域であることは間違いないでしょう。
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私もダブルマウントに
私自身も、昨年7月からその0.4%に加わることになりました。
もともとはニコン「Z6Ⅱ」と「Zfc」の2台体制でZマウントを運用していましたが、そこへ「別腹カメラ」という名目でシグマ「fp」を購入。新たにLマウントが加わりました。異なるシステムを手に入れることで、撮影スタイルの幅は広がり、カメラとしての楽しさも増しましたが、その一方で、機材管理や費用の面では悩ましい点も増えてきます。
このブログを読まれている方も、カメラ好きの方がほとんだと思っております。もしかすると、すでに複数のマウントを併用されているか、今後そうなる可能性のある方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな私自身の運用スタイルの変遷と、それを通じて得た『「レンズの共用」という解決策』について、ご紹介したいと思います。
現状把握と気持ちの整理
ダブルマウント運用において最も大きな課題は、やはり費用です。ボディだけでなく、レンズやアクセサリー、バッテリーなど、すべてが2倍必要になります。これらに関するメンテナンス費用も含めると、決して小さな負担ではありません。この中でも、特にレンズには描写性能を求めるが為に高額になりがちで、同じ焦点域を両マウントで揃えるのは、かなりの負担になります。さて、ここで私の保有機材を棚卸しておきます。★の数は使用頻度を表します。
<ニコンZマウント>
01) Z6II:★★★
02) Zfc:★★☆
03) NIKKOR Z 14-30mm f4 S:★☆☆
04) NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S:★★★
05) NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S:★☆☆
06) NIKKOR Z 26mm f/2.8:★★☆
07) NIKKOR Z 50mm f/1.8 S:★★☆
08) NIKKOR Z 85mm f/1.8 S:★☆☆
09) Voigtländer NOKTON D35mm F1.2:★★☆ (APS-C専用)
<補足>
・上記は記事作成時点
・赤字:不動のレンズ (仕事で必要、絶対に手放せない大三元レンズ)
・青字:単焦点レンズ (趣味で使用)
私はZマウントには「絶対的な信頼」を抱いています。仕事で使える万能機であり、特に標準から望遠域にかけては、大三元レンズで隙のない体制を整えています。ここは不動で、手放す選択肢はありえません。
Zマウントで気になるのは以下の点です。 ① 03) NIKKOR Z 14-30mm f4 S:★☆☆ の使用頻度が低いこと ② 05) NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S:★☆☆ の使用頻度が低いこと ③ 08) NIKKOR Z 85mm f/1.8 S:★☆☆ の使用頻度が低いこと ④ ズームレンズ、ズームレンズの描写はいずれも優秀だが、似通っており、棲み分けが難しいこと ⑤ 優秀すぎるがゆえに、プライベートでの撮影では少し“面白みに欠ける”と感じること 私の撮影は、ズーム・単焦点ともに、標準域で9割以上完結しており、 広角と望遠域の機材が宝の持ち腐れになっている。
次はLマウントです。
<Lマウント>
10) fp:★★☆
11) 45mm F2.8 DG:★★☆
12) 90mm f2.8 DG:★☆☆
<補足>
・上記は記事作成時点
・青字:単焦点レンズ (趣味で使用)
こちらは完全に趣味用途です。fpのやわらかい描写と、少しクセのある単焦点レンズとの組み合わせは、Zマウントとは全く異なる楽しさを与えてくれます。一方、操作性は操作性は極限までミニマルで、仕事用途には不向きです。
Lマウントで気になるのは、以下の点です。
⑥ 12) 90mm f2.8 DG:★☆☆ の使用頻度が低いこと
以上、①〜⑥のように現状を整理してみたところ、
何となく私自信が目指したい方向性も見えてきました。
基本的に
・Zマウントは「信頼の仕事用」で、標準〜望遠のズームレンズ主体。
・Lマウントは「趣味の時間用」で、単焦点レンズ主体、
明確な棲み分けがあり、
趣味では両マウントで単焦点レンズを楽しみたい、
ということです。
となると、
「両マウントで単焦点レンズを共有できたらな」
という発想になるのはごくごく自然な流れでした。
ただ困ったことに、ニコンZからライカLに変換するアダプターは存在しません。物理的に不可能なのです。その逆もまた然りです。よって、どちらでもない第3のマウントのレンズを探す必要が出てきたわけです。そしてそのレンズに各々アダプターを介し、ニコンZとライカLで使うという訳です。
つまり、今保有している単焦点レンズを一度整理し、両マウントで共用できるものに一本化してしまうということです。(もちろん、大好きなヘビロテレンズまで手放すつもりはございません)
ここから、
「私の両マウントで使えるレンズ探し」の旅が始まったのです。
この時の要件は以下のとおりです。
A). クラシカルな写りをすること。
(Zと対局の写りを求めたい)
B). 物としての質感が高いこと
(金属ボディーで、操作性がよく、撮影意欲を掻き立ててほしい)
C). 小型・軽量であること。
(これもZと対局を求めたい)
D). オートフォーカスはなくてもよい。
(趣味なので、じっくり時間をかけて一枚一枚撮って行きたい)
E). 焦点距離28〜55mmあたりで3〜4本揃えたい。
F). 価格帯は1本あたり10万円強までで、新品購入したい
G). オールドレンズは、自分で品質の良し悪しを自分で判断できない為、対象外とする
この時点で要件を満たすのは、
「ペンタックスKマウント」と「ライカMマウント」しかありませんでした。
ライカMマウントとVoigtländerの魅力
ペンタックスKマウントレンズはAF対応製品が多く、描写に定評があるレンズも少なくありません。しかし、その分構造が複雑で、マニュアル専用のライカMマウントと比べると大きく重くなる傾向があります。ダブルマウントで機材を持ち運ぶことを前提とすると、この大きさと重量は大きなネックです。携帯性や取り回しを優先したい私にとっては、Kマウントは少し方向性が異なると考え、候補から外しました。
となると残るのはライカMマウントのみです。もともとコンパクトな設計がされているマニュアルレンズであり、Zマウント・Lマウントどちらにもマウントアダプター経由で装着可能。しかも、外観・操作性ともに高級感があり、写欲を掻き立ててくれる存在でもあります。
中でも私が注目したのが、フォクトレンダー(Voigtländer)のMマウントレンズです。(いわゆるVMマウントです) 新品でも比較的手の届きやすい価格帯で、質感や描写性能は非常に優秀。国内サポートも充実しており、何かあった場合の対応も安心できます。
私はZマウントではズームレンズを中心に使い、Lマウントではキットレンズを基本装備とし、単焦点レンズはMマウントで一本化するという構成に落ち着きました。もちろん、マニュアルフォーカスは練習が必要ですが、ピント合わせに集中できる感覚や、1枚の写真を丁寧に仕上げていく感覚は、むしろ新鮮で楽しく感じられます。
今後の運用方針
さて、以上を踏まえ、今のところ何となく以下のようなラインナップにしていこうかなと考えています。
<ニコンZマウント>
01) Z6II:★★★
02) Zfc:★★☆03) NIKKOR Z 14-30mm f4 S:★☆☆→売却予定
04) NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S:★★★
05) NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S:★☆☆06) NIKKOR Z 26mm f/2.8:★★☆→売却予定
07) NIKKOR Z 50mm f/1.8 S:★★☆08) NIKKOR Z 85mm f/1.8 S:★☆☆→売却予定
09) Voigtländer NOKTON D35mm F1.2:★★☆ (APS-C専用)
<Lマウント>
10) fp:★★☆
11) 45mm F2.8 DG:★★☆12) 90mm f2.8 DG:★☆☆→売却
この中で少し不安なのが、使用頻度が低いとはいえ03) NIKKOR Z 14-30mm f4 Sを失うことです。今のところ予定はありませんが、建築関係の撮影依頼が入った時に、最広角24mmでは少々心もとないかもしれません。
そこで候補にあがったのが、カメラ機材専門のレンタルサービス「Goopass(グーパス)」です。さまざまなレンズやボディを気軽に試すことができるため、「買う前に試す」「たまにしか使わない望遠を必要な時だけ借りる」といった使い方が可能になります。

複数のマウントを扱うということは、それだけで大きな投資と管理が必要になりますが、使い方や構成を工夫することで、無理なく、そしてより楽しく写真と向き合うことができます。私の実体験が、同じようにダブルマウントを検討している方、あるいは複数システムの効率的な運用に悩んでいる方の参考になれば幸いです。
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