はじめに
富士フイルムの「フィルムシミュレーション」は、独自の美しさと表現力で、多くの写真愛好家を魅了してきました。「Classic Chrome」「ASTIA」「PRO Neg」など、それぞれが持つ個性は、単なる色味の違いではなく、写真の空気感や、記憶の奥にある情景までも描き出してくれます。撮ったまま残しておきたくなるような色合い──それが富士フイルムの魅力だと感じています。
とはいえ、カメラ市場全体で見ると、富士フイルムのユーザーはまだ少数派です。キヤノン・ソニー・ニコンといった大手に比べて作例も少なく、SNS上では少し埋もれがちな印象もあります。
私自身もかつては富士フイルムを愛用していましたが、Zマウントへの移行を機に、断腸の思いで手放しました。現在はニコン機を使用していて、操作性や画質、握ったときの安心感に満足しています。それでも時々、あの富士の色が恋しくなることがあるのです。
そんな思いを抱えているのは、きっと私だけではないはず。今は別のカメラを使っていても、かつて富士の色に惹かれた方、あるいは一度試してみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな方に向けて、Lightroomで富士フイルムの色を再現できるプロファイルをご紹介します。デジタル写真研究所様のWebサイトで無償公開されており、PCとLightroomさえあれば、どなたでも手軽に導入できます。
本記事では、試用結果や導入方法など、できるだけわかりやすくご案内していきます。
※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。ご了承ください。
写真の比較
導入手順の説明に入る前に、
まずは、私が試してみたサンプル写真をご覧下さい。
・サンプル写真は7セット準備しました。
・7つの写真に対し、7種類のフィルムシミュレーションを当てた結果を掲載しております。
・いずれも左上から順に、
・RAW現像(私が適当に現像したもの) ・Acros、
・Astia ・Classic chrome、
・Pro Neg High ・Pro Neg Std、
・Provia ・Volvo
の並びとなっております。
・7種類とも、Lightroom上で明るさの調整をしただけで
その他のパラメーターは一切変更しておりません。
それではご覧下さい。
Sample.1








「Acros」と「Velvia」は、まるで本家のフィルムシミュレーションのようです。特に、「Velvia」における夕空のグラデーションは、再現性が高いのではないでしょうか。このシチュエーションでは、彩度控えめのフィルムシミュレーションでは差が見えにくいように感じました。「Astia」は「classic chrome」や「Pro Neg」に比べ、若干青に傾くようですね。
Sample.2








私の感覚では、「Acros」と「Classic chrome」が本家に近いと思います。「Velvia」は若干彩度が低く、プロファイルを当てた後に、「自然な彩度」と「彩度」を上げた方が、インパクトの強い仕上がりになりそうです。
Sample.3








「私が現像したモノクロ写真」と比べると、「Acros」の方がシャドウが持ち上げられており、柔らかい雰囲気になっています。「Classic chrome」は適度に彩度が抑えられ、本家の雰囲気を感じます。この写真に限っては、「Velvia」は本家と別物のように感じますね。
Sample.4








今回掲載しました7つのサンプルの中で、この写真が最も本家に近いと感じました。木々の緑はかなり、再現性が高いように感じます。コントラストが抑えられ、やわらかい雰囲気の「Acros」、いい具合に彩度が抑えられた「Classic chrome」、自然な「Provia」は、本家に通づるものを感じます。「Velvia」も美しいですが、もっとギラギラしていてもいいかもしれません。
Sample.5








人物写真はどれを当てても、素晴らしいです。私はもともと「Acros」と「Classic chrome」が好きな為、どうしても贔屓目に見てしまいます。「Pro Neg」はいずれも落ち着いていながらも、「Classic chrome」より人肌の赤みが感じられ、好印象です。「Provia」は自然な人肌を表現しており、好印象です。「Velvia」は健康的な肌色になり、私には本家との区別が難しいほどです。
Sample.6








「Acros」、「Astia」、「Pro Neg High」、「Provia」あたりが、ふんわり柔らかい空気感を伝えてくれます。紫陽花と背景の夕空が共に鮮やかな「Velvia」もいいですね。
ここまでのサンプルは全て「NIKON Z6Ⅱ」で撮ったものです。
Sample.7
「シグマfp」で撮ったものです。








「RAW現像」は、「シグマfp」のカラーモード「ティール&オレンジ」をベースに、ハイライトとシャドウを少しだけ調整しました。気のせいかもしれませんが、fpで撮った写真は、フィルムシミュレーションを当てても、何故かしっくりきません。どこかシグマの色が残っているように感じます。シグマの色と富士フイルムの色が混ざって、濁っているような印象を受けるのです。ニコンとシグマのレンズの違いにもよるのかもしれません。
導入の手順
以下に、Mac版の導入手順を記載します。
(当方、Windows PCを所有しておらず、手順分かりかねますのでご了承ください)
1. 「デジタル写真研究所」様のサイトにアクセスして下さい。
2. 上記サイトの「ダウンロードはこちら」をクリックして下さい。
ダウンロードを許可するかどうか問われますので、「許可」をクリックして下さい。
ファイルのダウンロードが開始されます。
3. ダウンロードが完了したら、通常通りLightroomを起動して下さい。
4. 起動したら、右上のプロファイル欄にある「+ボタン」クリックして下さい。
先ほどダウンロードしたファイルを読み込ませて下さい。
5. 読み込みが終わると、プロファイルの中に「フィルムシミュレーション」が追加され、
選択できるようになっているはずです。
まとめ
① シグマfpより、ニコンZ6IIで撮った写真の方が、
プロファイルを当てた時の色のりがいいようだ。
(理由は分からない)
② 木々の緑には、どのプロファイルを当てても、
本家フィルムシミュレーションのように美しい色が出る。
③ 人肌は「Pro Neg」「Provia」、特に「Velvia」の色のりが良い。
④ 色々なシチュエーションで撮った写真で試したが、
「Acros」と「Velvia」は多くの場合、うまく仕上がる。
いかがでしたでしょうか。是非、皆さんも一度試してみて下さいね。
本記事が、「理想の色探し」をする皆様にとって、
少しでもお役に立てれば嬉しいです。
参考
本記事のSample.1〜6の写真は、ニコンZ6Ⅱで撮りました。いいですよ、Z6II。ご興味のある方は、是非チェックしてみてくださいね。
最新機種「Z5II」をお求めの方はこちらをご参照下さい。
それでもやはり富士フイルをお求めの方は、こちらをご参照下さい。
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